上海1930年 (岩波新書)



上海1930年 (岩波新書)

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尾崎秀美の見たもう一つのオールド上海


実弟の手による尾崎秀美の一種の評伝である。
中でも尾崎秀美が上海に在った1930年前後を中心に編まれている。

1930年と云えば資本主義の華咲くオールド上海のイメージが強い。
しかし尾崎秀美の視点から語られるそれは
列強と浙江財閥に妥協した南京国民政府の弾圧下にある上海だ。

コミュニスト・左翼から見た場合、オールド上海の姿が
かくも変わるものかと感嘆させられる。

淡々と描く上海

 著者の兄である尾崎秀実(おざきほつみ)を中心に、一九三〇年の上海で出会った人々を描いた本。ゾルゲ事件の真相を究明する、などという姿勢はない。
 よく調べて書いていると思うが、一部に、 「半封建的、半植民地的な矛盾が鋭角に突出している上海の地」(51ページ) というような、一見イメージとしてはわかるような、実態はよく分からない表現が見られるのが残念。文芸評論からしからぬ、新聞記者のような、言葉の中身を吟味しない表現だ。

 それにしてもこの本のタイトル、表紙と奥付には「上海1930年」とあるが、背表紙では「上海一九三〇年」となっている。「1930」と「一九三〇」では、私には異なる表記法に思えるのだが、著者はどう思っているのだろうか。文中では、本文が縦書きなので一九三〇年となっている。



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